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天使の降りた家

天使の降りた家

母乳育児

 ~産まれた頃の弦ちゃん~




弦ちゃんが産まれました。
2486グラム。

小さくて細くて、子猫の様な高い声で泣く子でした。

私は当然のように母乳で育てるつもりでした。
私の母乳は一人分の赤ちゃんを育てるには十分すぎる程の量が出ていたし
ミルクを足す必要性を感じてはいませんでした。



生後、初めての授乳。
お腹が空いて、弦ちゃんはおお泣きでした。

私はずっと憧れていた授乳にワクワクしていました。

全てが初めての事で抱っこするのも恐る恐るの私は、
弦ちゃんの口に自分の乳房を含ませようとしました。

しかし弦ちゃんの吸いつきは弱弱しく、
吸っているのかどうかさえも分かりませんでした。

助産師さんが「ほら、吸っているのが分かるでしょ?」と言われた時、
ん??本当に吸えているのかしら??
と思ったのを覚えています。


助産婦さんが近くに来て
「もっとしっかり吸わせなきゃだめじゃない。
もっと奥までしっかり入れて。」


弦ちゃんが、突然グーーーっと後ろにのけ反りました。
まるで嫌がっているかのように、フギャーーっと泣きだしました。

「ほら、お母さんのあげ方が悪いのよ。」



この病院は、赤ちゃんをひとまとめに預かって
3時間ごとに母親が授乳とオムツ変えにやってくる、
という仕組みを取っていました。

自然に、同じ時間に授乳にやってくる母親と
顔を合わせながら授乳することになります。


おっぱいを少し飲ませると、何故か反り返って泣きます。

何だろう??


ものすごい力で反り返る弦ちゃんを、おっぱいに近づけようと
私の左手はすごく力が入っていました。

こんなに力を入れるもの??



どうして私だけ、うまくあげられないのだろう・・・・

周りのお母さんたちが椅子に座って、ゆったりとした様子でおっぱいをあげているのを横目で見ながら、一人不安を感じていました。


今考えれば、水分でもトロミをつけなければ飲めない弦ちゃんが
おっぱいを飲むと言う事は大変な作業だったと思います。

弦ちゃんは苦しくて、反り返って知らせていたのに
私はそんな事ちっとも気がつきませんでした。
そして、うまく出来ないのは私が下手だからと思いこんでいました。




やがて助産婦さんがやってきて
「お母さんの乳首の形が悪いのよ。
乳首が小さくて吸いにくい形をしているから、このニプレット(乳首パット)を付けて」

「お母さんのやり方が悪いから飲めないのよ」



普段の私なら「ナニクソ!」と跳ね返せる元気もあるのですが
初めての出産に産後の体がこたえ、グサッと胸に刺さってきました。


更には
「赤ちゃんの体重が増えていないから、もっと絞って」

と強烈な搾乳マッサージをされる事もありました。
(乳線が開通していないおっぱいは、吸われる事で開通していくのだけど
無理やり出そうとしたので、ものすごく痛かったです)


私のおっぱいは、内側からはどんどん作られるのに対して
吸う量が少なかったのか、叶姉妹のような巨乳に変身しました。

痛くて痛くてたまりません。

もっと吸って!!
おっぱいが叫んでいるようでした。


助産師さんの心ない言動に
初めての育児、うまくいかない授乳、増えない体重・・・・・

自分のやり方が悪いんだ、
何で私は上手にあげられないんだろう・・・・・

そんな悶々とした気持ちがありました。


色んなサインを出していたのに関わらず
弦ちゃんの異常は、産院では見過ごされていました。










退院してからも、弦ちゃんは自分から吸いつく事はありませんでした。

毎回、乳首を口の奥の方に押し込む所から始まりました。
乳首が小さいと言われた事もあり、ニプレットは毎回使っていました。

初めは母乳が勢いよく出て飲みこむのが追いつかないのか
何度も苦しそうにゴボッとゴボッと空気を一緒に飲みこんでいました。



ある時、弦ちゃんが横抱きではなく
縦に抱いて飲ませると、あまり反り返らずに飲めることに気がつきました。

「きっとこの子は縦抱きが好きなのね」

そんな呑気な事を思いながら、それからは縦に抱っこして飲ませるようになりました。





一ヶ月経っても
弦ちゃんは寝ておっぱいを吸う事が出来ませんでした。

2時間おきの授乳は、夜なんかはいちいち起きるのが大変なので
寝ながらおっぱいをあげたいものですが

どうしても弦ちゃんは横向きで吸う事が出来ません。


「ねぇ、沿い乳ってどうやるの?」

母に聞いて何度説明してもらっても、やっぱり出来ないのです。




授乳をすると、反り返る。
空気を飲むと、反射で噛む。
吸う力が弱く、最後まで飲みきれない。

産まれて日数が経っても、なかなか上手に授乳が出来ず
毎回のように反り返る弦ちゃんを押さえつけるようにしてあげていました。


何で上手にあげられないんだろう・・・・




周りのママ友に聞いても
「うん、うちも前はそうだったよ。」

と言われると、そんなもんなのかな・・・と思ったり。
(本当は大違いなんだけどね!)




そんな事を悶々と思いながらも、弦ちゃんは何とか体重も増えていました。

最後まで飲みきれないので
授乳した後に残っている分を絞り、哺乳瓶も使って飲ませるようになりました。

どうやら、母乳は勝手に出てくるし、吸うのに力もいるようで
哺乳瓶の方が楽に飲めるようです。


搾乳は飲ませる時間の倍以上かかりました。
3時間ごとにおっぱいを飲ませ、その後に搾乳し・・・・

すると、直ぐにまた授乳の時間・・・



そんな事を繰り返しているうちに、あっという間に数ヶ月が過ぎました。







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